メールマガジン第12号(平成18年4月)
◇目次

今月の数字: 362億円
杉並区発行資料:『杉並区資金管理方針』
書籍紹介(その1): 『日本改造計画』
書籍紹介(その2):『るるぶ杉並区』
雑感

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●今月の数字: 362億円・・・杉並区の基金残高(平成16年度決算。特別会計分を含む)●
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メールマガジン第10号で杉並区の予算規模について紹介しましたが、今回は"貯金"である「基金」に焦点をあてて、杉並区の財政についてご紹介したいと思います。

以前ご紹介したとおり、杉並区の予算規模は、
・ 一般会計予算(平成18年度)・・・約1,365億円
・ 特別会計も含めた予算(平成18年度)・・・約2,509億円
です。

また、区の借金(区債残高)は、約647億円(平成16年度決算)です。

一方で、特別会計を含めた全ての基金の残高は、約362億円となります。

さて、基金といっても実は合計12の基金があります(全て条例に基づいて設置されています)。

そのうち、金額が大きく、また財政健全度を測る目安として「主な基金」とされているのが、
@ 財政調整基金(用途を問わない、いざというときのための貯金)
A 施設整備基金(施設建設・更新のための基金。今後、学校の改築等、多額の需要が見込まれています)
B 減債基金(住民税の減税措置に伴う減収を埋めるために発行した地方債「減税補てん債」を償還するための基金)
の3つであり、この3つで約304億円になります。

そして、これらの残高が最も少なかった(つまり、財政的に危機的状況だった)平成11年度は、87億円しかありませんでした。

ところで、基金には地方自治法241条に基づき、2種類の基金があります。

1つは「積立基金」と呼ばれるもので、「財産を維持し、資金を積み立てるために設置される基金」です。

当区では9つの基金がこれにあたり、さきほどの3つの基金も該当します。

参考までに他の6つの基金をあげておくと、
・ 災害対策基金
・ 介護保険給付費準備基金
・ NPO支援基金
・ 区営住宅整備基金
・ 社会福祉基金
・ みどりの基金
です。

もう1つは「運用基金」と呼ばれるもので、「資金の貸付や物品の購買のために設置される基金」です。

当区でこれに該当する基金は3つあります。
・ 国民健康保険高額療養費資金及び出産費資金貸付基金
・ 介護保険高額介護サービス費等資金貸付基金
・ 公共料金支払基金
(昨年度までは4つでしたが、今年度から「国民健康保険高額療養費資金貸付基金」と「国民健康保険出産費資金貸付基金」がひとつになり、「国民健康保険高額療養費資金及び出産費資金貸付基金」となりました)。

また、基金の運用収益ですが、積立基金の場合は、社会福祉基金を除いてそれぞれの基金に再積立されます。

一方、運用基金の場合は、一般会計に「財産収入」として計上されます。
これは、運用基金の場合は、条例で基金の額を明示していることとも関係します。

以上、いくらか固い、また細かい話となってしまいましたが、"基金"ひとつとっても、結構複雑な仕組みとなっていることをお伝えできれば、と思い、取り上げました。

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●杉並区発行資料:『杉並区資金管理方針』 ●
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「今月の数字」でとりあげたように、杉並区では現在多額の「貯金」である基金があります。
こうした貯金をいかに安全かつ効率的に運用・管理するかの方針が、『杉並区資金管理方針』です。

http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/file/sikinkanri_hosin.pdf

家計においても「資金運用」「資産運用」の大切さが言われている時代であり、また効果的な資金運用が財政健全化に多少なりとも資すると考えれば、自治体が資金運用を行うことは、「不作為」を避けるためにも必要なことだと思います。

また、このたびその方針をHP上で公開したのも、良い傾向だと思います。

もっとも、「安全性が何よりも第一」であり、また各種支出に備えて「流動性」も大きな要素ですので、「運用」といっても多くの制約があります。

例えば運用期間に関しても、
@ 預金は2年以内
A 債券その他の金融商品は10年以内
としています。

もっとも、これまでの低金利(ゼロ金利)時代から、今後は金利上昇が予測されますし、また新たな金融商品も矢継早に販売されていくと思いますので、状況に応じて運用方針も随時見直していく必要がありますね。

ちなみに、当区における債券等の運用割合は、基金の半分強です。
また、平成16年度における利益(基金利子)は、1億1千万円です。

なお、この資金管理方針には「コンティンジェンシープラン(不測の事態への対処方針)」がまだ盛り込まれていません。
この点については、3月の委員会で質問し、「今後の課題として捉えており、作っていきたい」旨の答弁がありました。

なお、参考までに、国内のシンクタンクによるレポートのひとつ(「自治体による公金管理のあるべき姿」)が下記アドレスで閲覧できます。

http://www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2004/pdf/cs20040807.pdf

住民向けの直接的サービスではないため、あまり注目されない分野ではありますが、興味のある方はご覧になっては、と思います。

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●書籍紹介(その1): 『日本改造計画』 小沢一郎著 講談社 値段:1,528円(税込み)●
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民主党の代表に、小沢一郎氏が選出されました。
その過程で、13年前(1993年)に発売されたこの本も、改めてメディアにとりあげられたことも多かったように思います。

主張のポイントは、

<目標>
"普通の国"になるために、個人の自立、すなわち真の民主主義を確立する

<手段>
@ 政治のリーダーシップの確立
A 地方分権
B 規制の撤廃

になろうかと思います。

また、「個人の自立(個人の解放)」の具体的な案として、
(A)東京からの自由
(B)企業からの自由
(C)働きすぎからの自由
(D)年齢と性別からの自由
(E)規制からの自由
を掲げています。

進捗の度合いはともかく、概ね自民党政権においても進められてきた方向ではないかな、と思いますので、自由主義を標榜する政党である限り、「こうした御旗に差異はなかった」と言っていいのではないかと思います。

ただ、こうして13年後に振り返ってみると、
(一) 小沢さんは、国連への期待度が非常に高かった(しかし、現在においても十分に機能していない)
(二) 小沢さんの予想に反し、アメリカの孤立主義的傾向は、読み違えた
といえそうです。

また、文中に日本が海外に誇れるものとして、4つ挙げられていますが、そのうちの2つが、「治安の良さ」と「所得・資産格差が小さい」ことでした。
子ども・高齢者を狙った犯罪が日々報道され、また格差論争が国政の場でも取り上げられるなど、政治課題が社会変化とともに変わってきていることを実感する次第です。

いずれにしろ、小沢さんが民主党代表となって、政治の世界が今後どうなっていくのか、区政の現場から注視していきたいと思います。

ところで、この本の初版発行は、1993年5月20日です。しかし、私が購入したのは、同年の8月7日でした(一緒に『日本新党 責任ある変革』細川護熙編 も購入していました)。
当時を振り返って考えると。。。

要は、就職活動が終わってから購入したんですね(^_^)。

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●書籍紹介(その2): 『るるぶ杉並区』 JTBパブリッシング 値段:900円(税込み)●
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メールマガジン第8号で、全編杉並区の情報を特集した雑誌『東京人 1月増刊』を紹介しましたが、このたび『るるぶ』シリーズからも、杉並区の特集が発売されました。

『るるぶ』シリーズは、「旅のお供」として私自身学生時代などはよく活用していたので、「やっと出来たか」といった感慨もあります。

先の『東京人』と較べると、『るるぶ』の方は、「ひたすら色々なお店を紹介している」感があります。

新たなお店の発見にも役立ちますが、自分の馴染みの店が出ているかどうかを探すのも、地元の人間としては楽しいかもしれません。

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●雑感●
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メールマガジン第12号、いかがでしたでしょうか。
今回のメールマガジンでは、民主党の代表が小沢一郎さんに交替したこともあって、書棚の奥からなつかしい本を引っ張り出してきました。
少しだけ触れた細川護熙さんも、今は晴耕雨読の生活のようで、表舞台ではむしろ奥さんの方が目立っています(NPO法人スペシャルオリンピックス日本の理事長をされています)。

10年という歳月の変化を、また違った視点で振り返ることができたような気がします。

一方で、地方分権との絡みで頻繁に使用されている「三位一体改革」という言葉が実は『日本改造計画』の中で使われていたり(ただし、選挙制度関連の改革として、です)、また地方6団体(全国知事会等)が提言予定の「地方共有税(地方交付税にかわる、新しい配分方式)」に関しては、『日本新党 責任ある変革』で「共同税」として提言されていたり、と、過去とのつながりを改めて認識したりもしました。

さて、先月17日に第1回定例会が閉会しました。
議会における質問や意見開陳全文等は、私のHPに掲載しております。

http://homepage3.nifty.com/ikuma/

こちらもご覧いただければ幸いです。

岩田いくま

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