メールマガジン第5号(平成17年9月)

◇目次

今月の数字:1,647億円
東京都発行資料:『都財政が直面する課題』 ← 今回は東京都の資料をとりあげます
書籍紹介:『歴史の使い方』
HP紹介:経路・料金探索「Yahoo!路線情報」
雑感

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●今月の数字:1,647億円・・・東京国際フォーラムの建設費(平成8年) ●
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旧都庁跡地に建設された、バブル時代を象徴する東京国際フォーラム。

http://www.t-i-forum.co.jp/general/index.php

その建設費は、杉並区の年間予算(平成15年度決算で1,241億円)を大きく上回ります。
さらに目を疑うのが、その建設単価。延床面積が145,077uなので、平米単価は113万円を超えます。

ちなみに、今春オープンしたお隣武蔵野市の「吉祥寺シアター」

http://www.musashino-culture.or.jp/theatre/index.html

の平米単価は、40万円弱で、約1/3です。

もちろん地下構造の有無等で建設単価は変わってきますが、それにしても随分と「贅沢」なつくりですね。

住民の目が届きにくい「国」の無駄遣いはよく指摘され、それゆえに「地方分権」がさけばれていますが、都道府県とて”住民の目が届きにくい”ことは変わりません。

「国から地方へ」だけでなく、「都道府県から市区町村へ」が必要な一例として、今回取り上げました。

なお、東京国際フォーラムに限らず、「凝った造り」にしたがゆえに「維持管理経費」が膨大になってしまっている例が都の施設には多々あります。

都庁舎も例外ではなく、年間40億円の維持管理費がかかっており、かつ「緊急的に必要な改修費」だけでも、120億円かかるとされています。

単年度予算でものを考え、建物のライフサイクルコストを考えない行政の欠点が如実に現れていますが、同時に「住民から距離が遠い」からこそこんないい加減なことがなされてしまうのではないでしょうか。

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●東京都発行資料:『都財政が直面する課題』 ●
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区政報告書でも何度かとりあげましたが、杉並区を含めた東京23区と他の市町村では大きな違いがあります。

それは、23区が「自治体として不十分な役割しか保持していない」ことです。

平成12年の地方分権一括法により23区も「市と同じ」とされたにもかかわらず、まだまだ昔(それ以前は23区は都の内部団体という位置づけでした)の悪弊が残っています。

その端的な例が、「都区財政調整制度」というものであり、本来「市」が全額財源とできるはずの法人住民税市町村分や固定資産税が、23区だけ52%しか財源にできない、という状況です(残りの48%は都の財源)。

都の主張は「大都市東京として一体的に行う必要がある事務(以下、”大都市事務”)を、23区の代わりにやってあげているから、その分のお金だ」と言っていますが、水道や消防等一部の事務を除き、都が挙げている事務の例はとても納得できるものではありません。

例えば先にあげた東京国際フォーラムも”大都市事務”に挙げられていますが、何も23区の区民のための施設ではなく、都民全員(国民全員)のための施設であり、つくりたければ都税を原資としてつくるべきものです。

また、「大学設置・運営」も”大都市事務”にあげていますが、23区の代わりにやっているというのであれば「都立大学」という名称はおかしく(これは”首都大学東京”に変わりましたが)、また、八王子に移転するなどもってのほかです。

結局、他県にくらべ十分な都道府県税がそもそもあるにもかかわらず、放漫な行政経営を行ってきたがゆえに(現在でも杉並区からみれば行政経営の再構築等全く不十分です)お金が足らなくなり、開き直って

「23区の税金も都が使って当然だ」

と、筋の通らない理屈を並べて駄々をこねているとしか(杉並区からみれば)思えません。

このことを(こっそり)都が公表したのが下記『都財政が直面する課題』という資料です。

http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/press/2005_press/20050726_tozaiseigatyokumennsurukadai/tozaiseigatyokumennsurukadai_no_sakuseinituite.htm

杉並区は従来から、「23区の代わりにやっているというのであれば、特別会計を設置して、23区からもらっている財源を何に使っているのか明らかにすべき」と言ってきました。

この問題は、一見「都と区の権力争い」に見え、またわかりにくい制度であるためなかなか区民の方々に伝えきれず、関心を喚起できないのですが、大切な税金を適切に使っていくためには、解決しなければならない大切な問題です。

これから杉並区は行政・議会を挙げて都と闘っていくことになりますが、皆さんも

「目が届き、おかしなことをしたらすぐ文句が言える、皆さんに身近な杉並区」

が責任を持って仕事ができるよう、この問題にも関心をもっていただければと思います。

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●書籍紹介:『歴史の使い方』 著者:堺屋太一 講談社 ●
●  発行日:2004年2月23日 値段:1,600円(税別)●
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当区では春から夏にかけて(現在でも)、「中学校の歴史教科書に何を使用するか」で極端な政治運動が展開されました。

教科書に対する想いは戦争を経験したかどうか、という世代によってもかなり異なるのではないかと思います。

各人により価値観が異なるのは当然ですが、いずれにしろ、歴史に限らず事象の受け取り方はどの角度から見るかによって異なり、単線的な視点からしか見られなくなってしまうことが最も危惧すべきことだと思います。

本書は歴史小説を多数著している著者の「歴史を見る時の注意点」のような書物かな、と思います。過去の著作の引用も多く、個人的には「ああ、あれね」という部分も結構ありました。

また、著者の日本(人)論としては、『日本とは何か』も、ほぼ15年前の著作ですが、視点を増やすうえで私には役に立ちました。

また、他の作家の「歴史を見る目」を感じる著作としては、かなり古いですが、司馬遼太郎さんの『手掘り日本史』(単行本は33年前に発刊)も面白かったです。なかでも、

「史観というものは、ときに歴史をみる人間に麻酔剤の役目をする」

という一文は、「気をつけなければ」という思いを改めてしました。

なお、今回採択され、来年度から区立中学校で使用される歴史教科書に対する反対運動は、複数の政治団体が未だ行っています。

私自身の感想では、反対する理由の本質は、政治的プロパガンダとしておもてに掲げたキャッチフレーズ(「戦争賛美の教科書」や「戦争に向かう教科書」)等ではなく、教科書中にある下記の文章に集約されているのではないかと思っています。

★「二つの世界大戦は各国に大きな被害をもらたしたが、その一方で、ファシズムと共産主義が、戦争とは異なる国家の犯罪として、膨大な数の犠牲者を出したことも忘れてはならない」

★「共産主義陣営の崩壊によって、約70年間の共産主義の歴史の実験は決着をみた。この体制は、人々に豊かで安定した暮らしを保障することができず、言論の自由など、政治的権利も保障することができないことがあきらかとなった」

★「社会主義と共産主義は、ほとんど同じ意味で使われることが多い」

上記の文章が子どもの教科書に掲載されるのは、共産主義や社会主義を信奉されている方たちにとっては、確かに耐えられないでしょうね。。。

注)私自身、今回検定に通った全ての歴史教科書(全8冊)を読んだわけではないので、どの教科書が最も良いと思うかを言う資格はありませんが、少なくとも今回採択された教科書が「戦争に向かう教科書」だとは思いません。
疑問を感じる表現も正直ありますが、現在使われている教科書よりは、区立中学校で使ってほしい教科書だと思います。

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●HP紹介:経路・料金探索「Yahoo!路線情報」 ●
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最寄りの駅から目的地に行く時、昔は「時刻表」を駆使して調べていたものでした。
今では簡単に調べられますね。

路線検索ができるHPが色々ありますが、当ページは
@料金も表示されること
A出発時刻、到着時刻を指定できること
から愛用しています。

http://transit.yahoo.co.jp/

なお、「ジョルダン株式会社」の下記HPでも、ほぼ同様の機能があります。

http://www.jorudan.co.jp/norikae/norikeyin.html

皆さんそれぞれ愛用のページがあると思いますが、あまり利用してこなかった方がおられれば、参考にしていただければと思います。

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●雑感●
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メールマガジン第5号、いかがでしたでしょうか。今回は「杉並区政にかかわる立場からみた東京都」をとりあげました。「国から地方へ」が必要なことは当然ですが、同時に「都道府県から市区町村へ」も必要だと感じていただければ幸いです。

9月11日に総選挙が行われ、政治に携わる者としては非常な虚脱感に襲われた結果も散見されました。そのあたりは私のHPの「活動日記」

http://homepage3.nifty.com/ikuma/sub8.htm

の9月12日の項に書いておりますので、よろしければこちらも閲覧ください。

昨日より区議会第三回定例会も始まりました。当定例会では決算審査も行われます。今回とりあげた都との問題も含め、少しでも杉並区がよくなるよう取り組んでいきたいと思います。

岩田いくま

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