◇目次

今月の数字:0.74
杉並区発行資料:『杉並区子ども・子育て行動計画(素案)』
書籍紹介:『幼児期』『2才児 イヤイヤ期の育て方』
HP紹介:若者向け仕事情報「Job Job World」
雑感

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●今月の数字:0.74・・・杉並区の合計特殊出生率(平成15年)●
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合計特殊出生率とは、「15歳〜49歳までの女性の年齢別出生率の合計で、一人の女性が一生の間に産む子どもの平均の数」です。
人口を維持するためには2.08が必要といわれております。
ちなみに、全国では1.29、東京都では1.00となっています(ともに平成15年)。
また、平成10年〜14年までの平均値でみると、杉並区は渋谷区、目黒区に次いで全国で3番目に合計特殊出生率が低い自治体になっています。

少子化に対する評価はわかれますが、当面は人口減少社会になり、かつ世代別人口構成が大きく変わってくることは間違いありません。
即ち、「今までの社会システムの延長」では対応できない、ということです。

現状の不備・不都合は徐々にしか現れない一方、「変化」に適応するためには当面の大きな困難・努力が要求されるため、人は自分が暮らす環境が変化することを本能的に避けようとします。
しかし、国の財政赤字の状況を見るまでもなく、今「変化」を自ら求めず、相変わらず「先延ばし」をするのは、あまりにも未来の世代に対して無責任ではないでしょうか。
少なくとも自分達の子どもに「やれるだけのことはやった(少なくとも、やろうとした)」と言えるようにしたい、と考えます。

なお、区政報告書にも記しましたが、「子どもを育てる」という「非常に重要な役割」に対する社会的認識が改まらない限り、少子化に歯止めがかかることは有り得ないと思います。

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●杉並区発行資料:杉並区子ども・子育て行動計画(素案)●
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子どもたちが育ち、子育てがしやすい環境を整えていくための、杉並区の中期計画(平成17年度(今年)から21年度)です。
国によって制定された「次世代育成支援対策推進法」に基づく市町村行動計画の役割も担っています。
7月21日づけ「広報すぎなみ」1面に概要が掲載されましたので、見覚えのある方もおられると思います。
先日までパブリックコメント(区民意見提出手続き)に付されており、最終的には秋に(素案)がとれる予定です。

この計画は、3つの視点(@すべての子育て家庭を支援するA子どもの自立と社会性を育むB子ども・子育てを支えあう地域をつくる)をベースに、5つの推進プランからなっています。
行動計画ですので、具体的な事業名が掲載されており、また可能なものに関しては、実施時期や具体的な数値目標も記されています。

施策は多岐にわたっておりますが、結構私自身が議会で訴えてきたことも盛り込まれているので、最初に目を通したときは嬉しくなりました。
いくつか列挙しますと。。。

@ 家庭で子育てをしている親への支援の充実

今まで「子育て支援」というと、どうも共働き家庭にしか目がいってないのではないか、という感が強く、
「家庭保育をしている親のこともきちんと考えるべき」
ということを、一時保育の充実や、保育園への公費負担と家庭保育への公費負担の格差等を絡めて訴えてきました。
現に、家庭保育の親の方が、共働き家庭の親より子育ての負担感を感じる割合が高い、との調査結果もあります。

*(財)こども未来財団の調査(平成13年)。育児の負担感について、「負担感大」と感じる人の割合は、共働きで29%、片方のみ就労で45%となっています。

これに対し、今回の行動計画では、
「これまでの子育て支援は、「子育てと仕事の両立支援」に重点をおいた施策を進めてまいりました」
という表現で「共働き家庭支援が中心だった」ことを認め、今後は
「すべての子どもと子育て家庭を支援していくことが大切です」
と、家庭保育への目配りを強化することがうたわれました。
具体的な施策としても、現在は5箇所10人しか行われていない「一時保育」を、計画最終年度までに「新規に10箇所100人程度」設置するとしています。

A 家庭福祉員(保育ママ)の機能の拡大

家庭的な雰囲気で乳幼児を預かる制度として、「家庭福祉員」があります。これは、一定の資格を持った方が自宅で3〜5名の乳幼児を保育する仕組みです。
私自身は、言葉を話し始める前の生後2年くらいは、できるだけ親が育てるべきだとの家庭観を持っていますが、事情により出来ない場合には、より家庭的な雰囲気に近い「家庭福祉員」さんのところで保育をしてもらう方がよい、と思っています。
残念ながら処遇の面等まだまだ不十分な点も多く、保育可能人数自体が少ないのですが、積極的に推進していくべきだと考えています。

B 中・高校生と赤ちゃんのふれあい事業の推進

私自身「赤ちゃんの親」として2回参加していますが、このときの中学生は、本当にいい顔をしています。どんどん積極的にやっていくべきだと思います。

C 子育ての担い手の育成

来年度から開講する「すぎなみ地域大学」において、区独自の保育資格を創設し(保育講座受講者に発行)、保育の担い手を増やしていくべきだ、と発言してきました。
子育ては経験の有無が大きくものを言うと思います。そして、「親業」をやってきた人は、それこそ地域にたくさんいます。既に子どもが大きくなった年配の人もたくさんいますし、また現在乳幼児を家庭保育している親にとっては、世話をする子どもが例えば一人から二人になっても極端な負担増とはなりません(むしろ、子ども同
士で遊んでくれて、楽になる場合もあります)。
預ける側の意識の問題や、制度設計における留意点(友達同士で子どもを預け合って保育料を公費から過大に受け取ることがないようにする等)はありますが、「既存のプロ」だけにまかせる必要はないのでは、と考えます。

* 地域人材を活用した子育て支援として、「ファミリーサポートセンター事業」が既に存在しています。この制度をより充実し、また柔軟性を増して利用しやすくしていくような施策が必要だと考えています。

なお、当資料は杉並区役所HPの下記アドレスに掲載されています。

http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/file/public_siryo1701.pdf

また、参考までに、東京都の『次世代育成支援 東京都行動計画』及び国の『少子化社会白書』はこちらからご覧になれます。

東京都
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2005/04/70f4q100.htm


http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/index-w.html

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●書籍紹介:                                    ●
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●□『幼児期』 著者:岡本夏木 岩波新書                 ●
● 発行日:2005年5月20日 値段:740円(税別)           ●
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●□ 『2才児 イヤイヤ期の育て方』 著者:佐藤眞子 主婦の友社  ●
● 発行日:2004年8月10日 値段:1,300円(税別)         ●
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『幼児期』は、発達心理学者による子ども論で、「しつけ」「遊び」「表現」「ことば」の4つの視点から幼児期の特徴や大人がどう対応すればよいかが述べられています。
参考にすべき点も多いのですが、如何せん現代社会の特徴(マイナス面)を「情報化と能力主義による能率至上主義」と単純化して捉えており、この「議論の大前提」に納得できない私としては、どうしても「?」と首を傾げながら読む部分も多かったです。

また、いかにも学者の論文らしく、「難しく書けばこうなるのかなあ」という感も強かったですね。研究者には読み応えがあるかもしれませんが、子育てに悩む親が参考にしようと手にとっても、すぐに読むのをやめてしまうかな、というのが実感です。

一方、『2才児 イヤイヤ期の育て方』は、年齢を2才児に限定していますが、「悩める親に対する実践の手引き」となっており、実際に2才児を抱える親としては、何度も頷いたりしながら読みすすめました。対象読者が限定されますが、これはお薦めです。

なお、親として一番必要なのは、「子どもが自分でやろうとしている時、親の都合でせかしたり代わりにやってしまうのではなく、ゆっくりと見守ること」だと私は感じました。

ちなみに、この著者も現在は学者ですが、もともと保健所や児童相談所で働いていたようです。

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●HP紹介:若者向け仕事情報「Job Job World」 ●
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先の『杉並区子ども・子育て行動計画(素案)』においても、重点事業のひとつとして「青少年自立支援プロジェクトの推進」が掲げられ、就労支援や職業体験がとりあげられています。
国レベルでの対策の一つとして、厚生労働省が「若者向け仕事紹介」として作成しているのが下記HPです。

http://www.shigotokan.ehdo.go.jp/jjw/top.html

それぞれの職種毎に「どんな仕事なのか」の説明や、現職による体験談(映像。「保育士」のコーナーでは、経験3年の女性、経験28年の女性、経験10年の男性 と、3人紹介されています)、その仕事に就くにはどうすればよいのか、が掲載されており、また関連情報として賃金情報や役に立ちそうな書籍の紹介もしています。

実際に体験・経験したり、また身近でその仕事を見るに越したことはありませんが、その前段としての参考にはなるのではないか、と思います。

ちなみに、「地方公共団体議会議員」のコーナーは、関連情報しか掲載されていませんでした。

なお、先月号で気象庁のHPをとりあげましたが、今月より「杉並区気象情報」が杉並区HPで掲載されるようになりました。

http://micos-service.jwa.or.jp/micos/suginami/

こちらもご利用いただければと思います。

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●雑感●
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メールマガジン第4号、いかがでしたでしょうか。今回は「少子化」「子育て支援」という視点から内容を選びました。というのも、プライベートなことで恐縮ですが、8月1日に長女が産まれ、改めて自身考えさせられることもありましたので。。。

7月3日に都議選が終わったと思いきや、今度は衆議院が解散され、また選挙が実施されます。私自身は無所属ですのでどの程度国政選挙に関わるかは未定ですが、政治に携わる一員として、ぜひ投票には行って頂きたいと思います。まだまだ暑い時期ですが、投票所には足を運んでください。よろしくお願いいたします。

岩田いくま

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