31年度予算への意見開陳②(3/27)

昨日に引き続き、、予算特別委員会の最終日(3月15日)に私が行った、

「会派を代表しての、平成31年度杉並区予算等に対する意見開陳」

の内容を、当欄に記していきたいと思います。

---

 続いて、今後の区政を取り巻く状況について展望いたします。長期的な区政の状況を判断する材料としては、やはり人口動態の推計と、区立施設の老朽化がその中心的な視点となります。
 人口動態の推計については、昨年『杉並区まち・ひと・しごと創生総合戦略』を改定し、それにあわせて「杉並区人口ビジョン」の改定が行われました。将来人口推計として最も蓋然性が高いと思われるCASE1、これは合計特殊出生率を平成29年の区内実績値である1.01、人口移動の仮定を平成30年推計と同様としたものですが、このCASE1によれば、5年刻みで見た場合ですが、杉並区における生産年齢人口数のピークは2030年、全人口数のピークは2035年となります。そうした中、高齢者人口比率は、2018年の21.0%から、2065年の30.9%まで、今後約50年間、右肩上がりで上昇し続けることになります。また、高齢者人口の絶対値でみても、2018年において118,784人のところ、ピークの2055年の165,945人まで、右肩上がりで増加を続けます。日本全体では2042年が高齢者人口のピークと言われておりますので、杉並区では10数年ピークが後ろにずれることとなります。財政需要という側面から見た場合、いわば「人口オーナス」期、すなわち人口構成の変化が経済にとってマイナスに作用する時期であることは明らかであり、先に見た現在の杉並区における年齢別人口構成の優位性との比較からも、楽観できるものではないと言えます。
 区立施設の老朽化に関しては、これも昨年策定した『杉並区区立施設再編整備計画(第一期)第二次実施プラン』において、施設の改築等に係るコスト試算がなされております。あくまで現在の施設を同規模で維持し続けた場合ではありますが、30年間の改築・改修等の経費は約3,452.8億円、年平均115.1億円となっております。一方で、『施設白書2018』によれば、直近10年間に支出した改築・改修経費は年平均68.7億円と示されており、今後は毎年50億円ほど上積みが必要となります。さらに、再編整備計画の試算にあるとおり、機械的に判断した場合、2025年の改築・改修コストが200億円超となっていること、また、2023年から2031年にかけてはほぼ毎年150億円前後の改築・改修コストが必要であることが示されており、さきの人口ビジョンとあわせると、人口動態の影響がまだ比較的少ない近未来において、施設の老朽化対応には大きな財政需要が存在することが見てとれます。

(続きは明日掲載いたします)

<< 「一筆啓上」トップに戻る