前回は、鹿児島県阿久根市での市長のリコールを目指した動き、及び名古屋市での議会の解散請求を目指した動きを取り上げました。
こうした動きの背景にあるのは、ともに「市長と議会の決定的な対立」です。
阿久根市の場合は、市長が専決処分(本来、議会の議決・決定を経なければならない事柄について、市長が地方自治法の規定に基づいて、議会の議決・決定の前に自ら処理すること)を乱発していることが背景にあります。
阿久根市の竹原市長は、専決処分を乱発する理由として、「政策を妨害する議会への対抗策は、専決処分しかない」と発言しています。
名古屋市の場合は、河村市長の提案(減税や議員のボランティア化)を議会が否決していることが背景にあります。
市長にも言い分はあるでしょうが、専決処分の乱発や、市長主導による議会の解散請求は、議会軽視の最たるものであることは事実です。
議会側にも不十分な点があることは私自身議会の一員として自覚し、また実感しておりますが、だからといって阿久根市や名古屋市の市長の行動は、民主的プロセスの軽視、ひいては独裁的システムを良しとする方向へ進んでいる気がしてなりません(もちろん、「市長も選挙という民主的プロセスで選ばれている」という反論があることは認識しています)。
両自治体のリコールの動きがどうなるかはこれからですが、日本の民主主義の現状を認識するうえで、大きな関心を持って見ていなければならない動きだと感じています。
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